耳鼻咽喉科は新生児から成人、高齢者の方まで幅広く受診される科目であり、耳、鼻、のどの疾患はもちろん、めまいや難聴、補聴器についても診察致します。近隣の病院や他の診療科との連携も大事にしており、必要な場合には専門施設にご紹介してまいります。
また当院では小児耳鼻咽喉科にも重点をおいています。小・中学生はもちろん近年は0歳から保育園へ通うお子様も多く、適切な時期の適切な治療が望まれます。軽微な症状でもご相談頂き、適切な治療方針をご家族と一緒に決定したいと思います。また、毎週木曜の休診日には国立病院機構 金沢医療センターにて、専門である小児難聴外来を行っております。お子様の難聴や発音障害、言語発達の遅れの悩みがあれば当クリニックにて先に診察と相談をさせて頂きます。
１）「花粉症」とは？
花粉症とは「アレルギー性鼻炎」の一種です。
アレルギーを起こす原因物質“抗原＝アレルゲン”が私たちの体内に入ると、体はそれを“自分の体と異なる異物＝侵入者”と認識し、アレルゲンに特異的に反応する“抗体”を産生します。そして再び体内にアレルゲンが侵入すると様々な「免疫反応」を起します。
免疫とは本来は生態を守るための重要な防御機構の一つであり、“抗体”も本来は外から侵入した病原微生物に対し抵抗力となるものです。しかし、この免疫反応が生体にとって不利になる、あるいは生体を障害するものを「アレルギー」と言います。
体内に花粉という異物＝アレルゲンが侵入すると、生体はその刺激で抗体を産生します。その抗体はまず体内の免疫に関与する細胞（肥満細胞と好塩基球）に付着して感作が成立します。そして再び花粉が体内に侵入すると「免疫反応」が起こり、ヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン等の化学伝達物資が分泌されます。この化学伝達物質が鼻粘膜を刺激し、くしゃみ、鼻水、鼻閉などの花粉症症状を引き起こすのです。
アレルギーは一度発症すると自然に治癒することはなく、生涯に渡る管理が必要になります。
２）花粉症の治療について
大きくわけて薬物療法とセルフケアの二つが挙げられます。
薬物療法：抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬などの内服、鼻噴霧用ステロイド薬の点鼻などがあります。これらは先程の免疫反応を抑制し、症状をおさえます。
以前から花粉症と診断されている方は、花粉の本格的に飛散する約１週間前から治療を開始したほうが良いでしょう。これを「初期療法」と言い、早めに薬を服用することによってアレルギー反応を抑制し、花粉が飛散してから服用するよりも症状を和らげます。この初期療法により、花粉飛散量の多い時期に症状を軽減し、併用する薬の量や回数を減らす事が期待できます。
この他に、症状が現れてから始める「導入療法」、これらの治療で症状が抑えられた状態を保つ為の「維持療法」があります。
薬の副作用である眠気を心配される方もいるかと思いますが、最近ではそのような副作用の少ない薬が開発されています。お気軽にご相談下さい。
セルフケア：花粉症を予防するには常日頃からその花粉を避ける工夫をすることが第一です。花粉は一般的に気温が高く、乾燥し、天気が良い日、風の強い日、雨上がりの翌日などに多く飛散します。
①外出の際は花粉が付着しにくい衣類で、マスク、メガネ、帽子などを着用しましょう。メガネは目に入る花粉の70％を、マスクは鼻に入る花粉の70〜90％を防ぎます。
②天気予報や花粉情報を参考にして行動しましょう。
③外出後は室内に花粉を持ち込まないように衣類等をよくはらい、からだに付着した花粉はうがい、洗顔、洗眼等でよく落としましょう。
④室内では窓の開閉を最小限にし、掃除機で室内の落ちている花粉が舞い上がらないようにこまめに掃除を行います。これはダニやハウスダスト等、通年性アレルギーの対策にもなります。洗濯物の干し方にも注意しましょう。
⑤飲酒や喫煙を控えましょう。これら鼻の粘膜を刺激し、鼻閉を悪化させます。
このように花粉症についてのお話を書かせていただきましたが、まずはかかりつけの医師に相談して自分にあった対処法や治療法を選び、辛い花粉シーズンを乗り切りましょう。
